遺言を遺されたい方にはいろいろな想いがあるはずです。
これまでの人生、お世話になった方、疎遠になってしまった方、そして旅立った後に残されたご家族の間での争いのない関係性への願いなど・・・
その時、必ずしも法定相続分通りに相続をしてもらうのではなく、金額で換算する場合の差額は出てくる場合があります。
もちろん、極端な相続額の差がある場合には遺留分を主張される方がいらっしゃるかも知れません。
それでも、相続をさせる被相続人である方の想いは相続人の方々が納得することのできる心のこもった付言で残したいものです。
芳村事務所は遺言のご相談をいただく方に、丁寧な聞き取りを行い、心を込めた付言の原稿をご提案させていただきます。
以下にサンプルとして相続のさせ方と、付言の原稿をご覧いただきます。
67歳男性です。 44歳の娘と64歳の妻がいます。
妻には長年生活を共にし、感謝をしておりますが、娘とは折り合いが悪くここ20年ほどほとんど音信は取っておりません。
妻と娘も同様です。
私には、現在妻と住んでいる家の土地と建物、現金預金が1,000万円ほどありますが、遺言を残し、私の名義の土地と建物を妻にすべて相続させたい。
娘には何も相続させたくない。
なお、娘には私の死後、妻との関係を修復し、いずれは妻から相続する家の土地と建物を受け取ることになることを理解し、私から直接相続させられないことを付言によって理解させたい。
付言のサンプルは以下です。
付言事項
私がこの遺言を書き残すにあたり、どうしても伝えておきたいことがあります。
まず、妻である〇〇には、長年にわたり私を支え、苦楽を共にし、家庭を守り続けてくれたことに、心から感謝しています。その感謝の気持ちを形として残したいとの思いから、私名義の土地および建物のすべてを妻に相続させることとしました。
これは決して他意があるものではなく、これまでの人生を共に歩んできた伴侶への当然の報いであり、私の強い意思です。
一方で、娘である〇〇へ。 長い年月、互いに心を通わせることができず、父として至らなかったことを申し訳なく思っています。
今回の遺言で、直接あなたに財産を残さない内容としたのは、あなたを思わないからではありません。むしろ逆で、あなたには私の死後、母と向き合い、関係を修復し、家族として再び歩んでほしいという願いからです。 母は、私がいなくなったあと、ひとりになります。
どうか母を気遣い、支えてあげてください。あなたが母と心を通わせ、親子として穏やかな時間を重ねていくことこそ、私にとって何よりの願いです。 いずれ時が来れば、母からあなたへとこの家と土地が受け継がれることになるでしょう。
その時、争いやわだかまりではなく、理解と信頼の中で受け取ってほしい。その未来を信じて、このような形の遺言としました。 どうか私の気持ちを理解してください。
令和〇年〇月〇日 遺言者 〇〇〇〇
さらにこんな方もいらっしゃいました。
80歳で財産は不動産3物件、それぞれの価値は5,000万円、4,000万円、2,500万円程度です。 預金株式など5,000万円程度あります。
相続人は長男、次男、長女の3人、すでに妻は他界しておりません。
不動産を売却して現金に変えて均等にとは考えず、5,000万円の不動産を現に住んでいる長男に、4,000万円の不動産をこれもまた現に住んでいる次男に、結婚して家を出た長女には賃貸として人に貸している2,500万円の不動産を相続させ、現金とか株券などはお世話になった高齢者施設に遺贈したいと思っております。
均等ではありませんし、遺贈については反対もあるかも知れません。
しかしながら、それぞれがそれなりに成功して幸せそうに暮らしているようなので多くを望まずに揉めることなく相続をしてもらいたいと思っています。
これに対する付言原稿は以下の通りです。
付言事項
私がこの遺言書を作成したのは、私の死後、相続人である長男、次男、長女の三人が互いに争うことなく、穏やかな気持ちで相続手続を進めてほしいと願ったからです。
私には三人の子どもがおり、それぞれが自分の道を歩み、今日まで立派に生活している姿を父として大変誇りに思っています。
長男と次男はそれぞれ現在住んでいる家を生活の基盤としており、長女もまた独立して家庭を築き、自らの人生を歩んでいます。
そのような事情を踏まえ、遺産は必ずしも均等に分けるのではなく、現実の生活状況に合わせて分配することが最も円満であると判断しました。
これは誰かを多く、誰かを少なく遇する意図ではなく、それぞれの生活の安定を第一に考えた結果です。
また、私の預貯金や株式等については、長年お世話になった高齢者施設に遺贈することにしました。人生の晩年を支えていただいた感謝の気持ちを形として残したいとの思いからであり、どうか私のこの気持ちを理解し、尊重してもらえれば嬉しく思います。
三人は私にとってかけがえのない子どもです。互いを思いやり、これからも兄弟姉妹として良い関係を続けてください。それが何よりの親孝行であり、私の最後の願いです。
令和〇年〇月〇日 遺言者 〇〇〇〇
